■□夏は雄大でカラフル
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 原生花園の花咲き乱れる六月下旬の網走は、実にきれいだ。東京で北海道のいいところは、とよく聞かれる。私は網走の原生花園、風景の雄大な大沼、夕映えの美しい知床の海、積丹半島などを挙げてきたが、夏の北海道はどこでもみな雄大でカラフルだ。小樽の、あの群青色を流したような海―。これも北海道の色なのかと、認識を新たにしたことがある。




 しかし冬は峻烈(しゅんれつ)である。網走・紋別で流氷をよく描いたが、とにかく寒い。強い酒をのんでも、足はふらふらするが頭はすっきりしたままだ。咆哮(ほうこう)して襲いかかる吹雪は、山野も街も凍てつかせ、震え上がらせる。あまりの寒さに一枚だけ描き、あとはスケッチを頼りに宿で仕上げた。この時の一枚には芯まで凍る寒さを感じるが、あとは仕上がりは綺麗でも、私の目には温かく流氷とはいえないものになった。絵は、油断がならない。正直である。





 知床の夕映えも実に豪快だ。大きな太陽が真っ赤に燃え、海の中にジューと音をたてて落ちて行く。感動的だが、あとは寂しい。無常の人生を感じる。これに対して積丹の夕焼けはわりにカラッとしている。天が高いのである。ウロコ雲がいっぱいに広がり、明日に希望が湧いてくる。同じ北海道の海の風景だが、日本海側と、北の果て流氷のくるオホーツク海は違いがある。




 七月初旬、エゾカンゾウが原野一面に咲き乱れ、サロベツ原野は黄色一色に染まる。空はスカイブルー。白雲が抽象画のように美しい線を描いている。この原野のコントラストは何か都会的でもある。そういえば私はこの地で、一度も曇りや雨に遭ったことがなかった。ここに雨が降ることは、あるのだろうか。



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